2008,05,18, Sunday/yoko
3話 小さな声 (1)
あったかくなったね。 どうきょにん と一緒にくらしはじめて、4回目の はる がきた。 あっ、どうきょにん って、Yoko のことね。このうちに来たばっかりの さいしょの はる にね、 Yoko はボクに おとーとぶん を連れてきた。
ヒナでおとこの子っぽいから “ひなきち” だって。 あんちょく な ねーみんぐ だよね。 ボクの名前も ぴぃ だしさ。 あたりまえだけど、そのうちヒナじゃなくなっちゃって “きっちゃん” になった。 ふつう なまえ つけるときって、もっとよく考えるもんじゃない? まぁ、いいけどさ。
きっちゃん はね、ボクより体はちいさいくせにね、力が強くてさ、
元気で、ボクより あくてぃぶ。。。
それにね、ヤツは飛べるんだ。 あちこちへ軽々飛んでいく。
・・・・・・はじめて きっちゃん とあったときはさ、まだヨタヨタ歩く赤ん坊だった。
みーみーぴゃーぴゃーいいながら近づいてくる。
えいりあん だよっ!
「コッチ来んなっ!」 って、いっくら言っても近づいてくるんだ。 ボクは逃げ回った。
ボクはそれまでずっと、ひとりぼっちだった。
このうちに来るまで、いろんな ヒト のうちにいたよ。 いろんな ヒト が通っても、カゴの中にうずくまってれば、ダレもボクには さわれない。 ボクは あんぜん だった。 だから・・・ずっとひとりだった。 でも、それでよかったんだ。 ソバによってくる きっちゃん は、 めーわく だった。
でもね、何日かたったとき、いきなりアイツが飛んだんだ。 さっきまで、ボクのあとをトコトコ歩くだけだった きっちゃん があっというまに遠くまで行った。
ボクね、びっくりした。 飛ぶ ってどーゆーカンジなのか、考えたこともなかったんだ。
あせって きっちゃん のところへ行こうと思ったけど・・・ ボクもとび上がってみたけど・・・ ダメなんだ。 ぜんぜんうまくいかない。
みるみるうちに きっちゃん は飛ぶのが上手になったよ。
なんでだろ。
・・・ボクは きっちゃん みたいに、じょうずに枝につかまれない。 ボクは きっちゃん みたいにすばやく動けない。 ボクは きっちゃん みたいにうまく じゃんぷ できない。 ボクの羽は きっちゃん みたいにうまく動かない。 ボクは・・・ ボクは きっちゃん とチガう。
そのときから、ボクは きっちゃん のあとを追いかけるのにムチュウになった。
たんす の上とかさぁ、ボクが行けないとこ行っちゃって、下からいくら呼んでもシラン顔してたりするとさ、なんだよっ! って思うけどね。 でも見上げると、白い羽と青いおなかがね、まぶしいんだ。 きっちゃん の白い羽は、はじめて見た キレイなもの だった。
だからボクは、いつでも きっちゃんを追いかけた。 きっちゃん の隣にいるとさ、なんだか あんしん したんだ。
きっちゃん と一緒の3回目の はる が来たとき、きゅうに きっちゃんの姿が見えなくなくなった。 あったかい晴れた日だったよ。
ボクは、Yoko を楽しそうに追いかけて遊んでる きっちゃん をカゴの中からぼんやり見てた。 その日、ボクのからだは、ゆーことをきいてくれなくてさ、きっちゃん のあとを追いかけたくても、いっしょうけんめい木につかまって、ジィっとしてることしか出来なかったんだ。 ときどき、きっちゃん と Yoko が ぼおっ と遠くに見えてた。
気がついたら部屋の中が静かだった。 何回か きっちゃん を呼んだけど、返事がないんだ・・・。 きっちゃんの声が聞こえないことに気がついて、ボクは ぱにっく になった。
だって、アイツが ばぶばぶの赤ん坊 でボクのとこにやって来たときから、ずっと一緒だったんだよ。 離れたことなんてなかったんだ。
だからあちこち探した。 部屋中歩き回った。
Yoko の足をよじ登っていって、ムチュウで Yoko の髪の毛の中も探した。 でも、かくれんぼ じゃなかった。 きっちゃん の声はどこからも聞こえない。
ボクは もしゃもしゃ の髪の毛の中から もしょもしょ って顔を出した。
Yoko の頭のてっぺんは、ボクが行ける一番高いところだった。
・・・これまでこんな高いとこ、登ったことなかったナ。
そこから見る部屋の中は、いつも見てるのと違ってた。 ちょっとこわかった・・・それから・・・
・・・それから、きっちゃんは、ここから見えるモノより、もっと広くて、もっと高いところを見に行っちゃったんだって、わかった。
それからボクは、毎日 Yoko の頭の上によじ登った。 どうしてかナ・・・。
ナニかは、わからないけど・・・ 見たかったんだ。 きっちゃん が見てるものを、ボクも見たかった。 それに・・・
・・・こわかったんだ。
<3話 小さな声: つづく>
≪ 続きを隠す
みーみーぴゃーぴゃーいいながら近づいてくる。
えいりあん だよっ!
「コッチ来んなっ!」 って、いっくら言っても近づいてくるんだ。 ボクは逃げ回った。
ボクはそれまでずっと、ひとりぼっちだった。
このうちに来るまで、いろんな ヒト のうちにいたよ。 いろんな ヒト が通っても、カゴの中にうずくまってれば、ダレもボクには さわれない。 ボクは あんぜん だった。 だから・・・ずっとひとりだった。 でも、それでよかったんだ。 ソバによってくる きっちゃん は、 めーわく だった。
でもね、何日かたったとき、いきなりアイツが飛んだんだ。 さっきまで、ボクのあとをトコトコ歩くだけだった きっちゃん があっというまに遠くまで行った。
ボクね、びっくりした。 飛ぶ ってどーゆーカンジなのか、考えたこともなかったんだ。
あせって きっちゃん のところへ行こうと思ったけど・・・ ボクもとび上がってみたけど・・・ ダメなんだ。 ぜんぜんうまくいかない。
みるみるうちに きっちゃん は飛ぶのが上手になったよ。
なんでだろ。
・・・ボクは きっちゃん みたいに、じょうずに枝につかまれない。 ボクは きっちゃん みたいにすばやく動けない。 ボクは きっちゃん みたいにうまく じゃんぷ できない。 ボクの羽は きっちゃん みたいにうまく動かない。 ボクは・・・ ボクは きっちゃん とチガう。
そのときから、ボクは きっちゃん のあとを追いかけるのにムチュウになった。
たんす の上とかさぁ、ボクが行けないとこ行っちゃって、下からいくら呼んでもシラン顔してたりするとさ、なんだよっ! って思うけどね。 でも見上げると、白い羽と青いおなかがね、まぶしいんだ。 きっちゃん の白い羽は、はじめて見た キレイなもの だった。
だからボクは、いつでも きっちゃんを追いかけた。 きっちゃん の隣にいるとさ、なんだか あんしん したんだ。
きっちゃん と一緒の3回目の はる が来たとき、きゅうに きっちゃんの姿が見えなくなくなった。 あったかい晴れた日だったよ。
ボクは、Yoko を楽しそうに追いかけて遊んでる きっちゃん をカゴの中からぼんやり見てた。 その日、ボクのからだは、ゆーことをきいてくれなくてさ、きっちゃん のあとを追いかけたくても、いっしょうけんめい木につかまって、ジィっとしてることしか出来なかったんだ。 ときどき、きっちゃん と Yoko が ぼおっ と遠くに見えてた。
気がついたら部屋の中が静かだった。 何回か きっちゃん を呼んだけど、返事がないんだ・・・。 きっちゃんの声が聞こえないことに気がついて、ボクは ぱにっく になった。
だって、アイツが ばぶばぶの赤ん坊 でボクのとこにやって来たときから、ずっと一緒だったんだよ。 離れたことなんてなかったんだ。
だからあちこち探した。 部屋中歩き回った。
Yoko の足をよじ登っていって、ムチュウで Yoko の髪の毛の中も探した。 でも、かくれんぼ じゃなかった。 きっちゃん の声はどこからも聞こえない。
ボクは もしゃもしゃ の髪の毛の中から もしょもしょ って顔を出した。
Yoko の頭のてっぺんは、ボクが行ける一番高いところだった。
・・・これまでこんな高いとこ、登ったことなかったナ。
そこから見る部屋の中は、いつも見てるのと違ってた。 ちょっとこわかった・・・それから・・・
・・・それから、きっちゃんは、ここから見えるモノより、もっと広くて、もっと高いところを見に行っちゃったんだって、わかった。
それからボクは、毎日 Yoko の頭の上によじ登った。 どうしてかナ・・・。ナニかは、わからないけど・・・ 見たかったんだ。 きっちゃん が見てるものを、ボクも見たかった。 それに・・・
・・・こわかったんだ。
<3話 小さな声: つづく>
≪ 続きを隠す
▲
コメント
コメントする
▲
この記事のトラックバックURL
http://yocuta.com/blog/tb.php/50