貧乏女優の舞台裏

根本陽子のブログ:芝居のこと・日々のこと・相棒のインコのこと。。。

  3話 小さな声 (2)



 [3話: 小さな声 (1) のつづきデス]

何日かして Yoko が、あたらしい ボクのカゴ を作った。 前のカゴより、もっと広い。 それからカゴを、これまでで一番高いところに置いてくれた。 そこからは、部屋の中も、外のソラもよーく見える。


ボクは、ぽつんと、その中にいた。


いままでで一番高いところ。


「自由に出入り出来るように」って Yoko が階段もつけてくれたけど・・・ボクは、何日も何日もカゴに閉じこもって、窓の外に向かって きっちゃん を呼びつづけた。


ある朝ね、目が覚めたら、いつもより静かな朝だったんだ。 空気が ぽわんっ と、やわらかかったから、ボクはそぉ~っと動かずにいた。


続きを読む ≫
ソラがうすい青色になったよ。 きっちゃんのおなかとおんなじ色だな・・・キレイだな。 ソラって、ナニ?・・・   ボンヤリ ながめてた。


そしたら、 Yokoの顔 をね、おもいだしたんだ…


きっちゃん がいなくなってから、Yoko もずっと元気がなかったよ。 ボクがいっしょうけんめい きっちゃん を呼んでいると、Yoko も鳴いた。 鳴きながら Yoko の目から水がぽろぽろ落ちてくる。 何度もボクに 「ごめんね」 って言った。

なんで 「ごめんね」 なのかはわからない。 なんで、水がぽろぽろ出てくるのか、わからない。


   そうだ… Yoko はドコ?


高いところから階段を降りるのは怖かった。 ボクの足は、木をじょうずにつかめないんだ。 すぐ落っこちそうになっちゃう。 でもゆっくり、ちょっとずつ降りていった。

家の中は、やっぱり静かで、ボクのカサコソ言う足音しか聞こえない。 Yoko はドコだろ…



きっちゃんはね Yoko を探すのがうまかったんだ。 どこの部屋にいたって、Yoko を見つける。 毎朝 Yoko を起こしに行ってたのも きっちゃん だった。

ボクはいつだって、きっちゃんの後をついていけば良かったんだ。 あはは~、だって歩くより、飛んでく方が早いに決まってるもん。 ・・・飛べないボクは、いつだって きっちゃん の後をトコトコ追いかけていくことになるんだ。 




Yoko の眠ってる部屋は遠かった。 いつもよりずっと遠かった。 眠ってる Yoko が見えたとき、なぜだかボクは立ち止まっちゃった。 どうしたらいいかワカラなくなったんだ。 

Yoko がふっと目をあけてボクをみた。 Yoko はびっくりしてた。


   ソバに行っていいのかな…。


ボクが Yoko のソバに行こうとすると、いつも きっちゃん が飛んできて、ボクに ふらいんぐキック かましたりするんだよっ! きっちゃんは Yoko が大好きだったからね。 Yoko を取られちゃうって、思うんだ、きっと。 だから、ボクはずっと Yoko のソバには行かないようにしてたんだ。 


ちょとだけ Yoko の近くへ寄ってみた。 きっちゃん は飛んでこない…。


Yokoが 「おはよ、ぴぃさん。 おいで」 って言った。 だからまたちょっとだけ、近くへいった。


Yoko が指を出して待ってる。


ボクはその指に、そぉっと乗った。


「階段、怖かったんじゃなかったのか? どしたの?!」


ボクは Yoko を見た。 ケド、なんて言ったらいいのかワカラなかった。


「起こしにきてくれたの?」 


ボクは、その日、初めて声をだした。 何て答えたらいいのかワカラなくて、ちっちゃな声しか出なかった。 きっちゃんがいなくなってから はじめて、きっちゃんを呼ぶ声以外の声だった。


「…ありがとうね、ぴぃ」


声を出したとき、やっとわかったんだ。 ボクの声・・・いま きっちゃん には届いてないんだな・・・



ボクはね、決めたよ。
Yoko を毎朝起こすんだ。 きっちゃん がやってたみたいに。
いま、ボクのちっちゃな声に このヒト が返事してくれたから。



たくさんのことが頭の中で くるくる してる。 Yoko に伝えようと思ったケド、ボクの口から出てきたコトバは


   ミぃ…


「ぶはっ! キミは子猫かっ?!」



   インコだよっ! 



ぬぐぁ~… ボクの しこう は、とても たかい じげん にあるのだっ! このひと言がどれだけフカいか、Yoko なんかにはワカラナイのだっ!


と、言ったつもりが






    ミ! 






「やっぱ、猫だ。 あはは。。。」


ワラうなーっ! って言おうとしたら、落っこちた。

「・・・・・ホント・・・・・」

Yoko はボクを もぅ一度指に乗せて、言った。

「どんくさいのぉ・・・」 



   ぬあ~~っ!! 


・・・・・・イマに見てろよ・・・・・・



Yokoの顔は・・・笑ってる。



・・・・・・ま、いっか。 Yoko がうれしそうだから、さ。






  あっという間に、また はる がきた。
  きっちゃん いまナニしてる?

    あいかわらず飛べないケド…
    ボクは げんき だよ。





<3話 小さな声: おわり>


≪ 続きを隠す

| おはなし : 白いインコと黄色いインコ | 11:41 PM | comments (0) | trackback (0) |


  コメント

  コメントする










★画像認証★ 半角英数大4文字を入力してください





http://yocuta.com/blog/tb.php/51


  トラックバック