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1999「奇蹟の人」旅日記

東京→春日部


2/11
本日はちょっと長いです

 劇団を3時半、出発。6時、仕込み開始。 久しぶりに雪が降った。会館に着いて、まずトラック回りの雪かきから始まる。9時、ホテルにチェックイン。なんと元ラブホテルだったらしい、このホテル。
 各部屋のデザインがそれぞれ違う。みんな部屋に入って大笑い。お風呂が覗けるようになっていたりして・・・。今夜は、ほとんどの人がツイン。もちろんわたしも・・・。女性二人でお風呂を覗きあってどうしろっていうのだ!

 ご飯を食べに外にでる。
本日の面子は、アサちゃん、ミヤタ氏、マチダ、ユリエちゃん、カメ、サンベ、シュウちゃん、わたし、の8人。 チェーン店の居酒屋でも、まあおいしかったです。明日は2ステージなので、ほどほどにして切り上げる。  自分の部屋でスオミとおしゃべりしていたら、シュウちゃんから呼び出しがかかる。何か笑わせてくれるネタを仕込んでいるんだろうからちょっと行って来るね、と彼らの部屋に。大体の予想はついていたけど、案の定サンベちゃんネタ。ひねりとオチがない・・・・・・。

 さてさて、この二人の部屋はというと、ベッドが二つとソファーが一つ。そのあいだに180センチくらいの円柱が二本、ドーンとたっている・・・。普通は間接照明だろうけど、部屋中のスイッチをいれても変化なし。これってなあに? まあ元ラブホテルだからね、単なるインテリアかな、ということで落ちついた。あっ! もちろんお風呂場はガラス張り。
 しばらく有線でいろんな曲をかけながら、曲のイメージにあわせたシチュエーションで芝居をして遊んでた・・・。(かなりわたしたちはバカです)

 なんか変なにおいがする。いままで嗅いだことのない種類の焦げたにおい。タバコのフィルターか? と灰皿をしげしげとみてみるけど ????? わたしはベッドと円柱を背にしてソファーに座っている。彼ら二人はベッドに正座して「大作家先生と秘書を寝取った弟子」ということでまじめに馬鹿な会話を交わしてる。変わった様子なし。気のせい? しばらくするとまたふっとにおう。首をかしげながら缶ビールを手にする。ビールを渡そうと思って後ろを振り向いたら、あれっ? 円柱にかけてたシュウちゃんの洋服の袖口から、はかなげな煙がポワーン。おやおや? なぜ? あー! 立ち上がって円柱に掛けてた一番上のジャンパーをめくる。20センチほどの炎がぼー
わー、とりあえず火っ! 水っ! 水っ!」とわたし。「えっ? みず?」とサンベ。
シュウちゃんはというと、燃え続けてる自分の服を見上げながらぼーっとしている・・・・・。
二人とも動かないから、円柱に掛かっていた洋服を全部はがして、浴室にダッシュして湯おけになみなみと水を入れてソファーに立つ。この間おそらく7、8秒。

溶けたナイロンが依然炎を上げている。円柱に水をかけようとした瞬間「ノー」という信号が頭のなかでチカチカ。(ショート 漏電 火災報知器 ホテル中大騒ぎ)の図式がパパパパパ・・・。
「電源落としてっ! スイッチ切って!」とわたし。「えっ? 電源?」とサンベ。サンベの手には水の入った小さなコップ。「まて! 電源落としてから!!」といってるわたしの目に映るのは「えっ? 電源」といいながらコップを傾けるサンベの手とチョロっとこぼれるコップの水。それと炎に照らし出された呆然としているシュウちゃんの顔・・・・。

あーばかっ」ものすごい煙がグワーッ。廊下からのヂリリリリ! という音。「オウマイゴット」という心の声・・。

ほんの一瞬鳴り響いただけで音が止む。「助かった」という心の声。部屋はナイロンの燃えた煙が充満している。ものすごく息苦しい。目と喉がものすごく痛い。なおも火を上げ続けている円柱。

以前、別の芝居の旅で明け方ホテルの火災報知器を鳴らしてしまった奴がいた。そのときのことが走馬燈のようにわたしの脳裏をパパパパパパパパ・・・。
なんとしても火災報知器の悲劇だけは阻止せねばならぬのだ! (・・・・・あっ 煙!!)

「先に窓開けて! 窓!!」というわたし。「えっ? 窓?」というサンベ。ぼーっと火を眺め続けているシュウちゃん・・・。だめだこりゃ。走って窓のレバーをつかんで一気に全開。

円柱からあがっていた炎は鎮火し始めた。溶けて電球にくっついたナイロンが燃え尽きたらしい。ふー

ふとみたらこの期におよんで? まだサンベちゃんのマルボロジャンパーはもう一本の円柱に掛かってる。「ばかっ! あんたのもはずしなさいよ!」とわたし。「え? ああ」とサンベ。はがしたサンベ君のジャンパーはもちろん20センチくらいの穴があいてる。それでも溶けただけで炎はあがらなかった。直接電球にくっつかなかったのが助かった理由。この時点で2時をまわっている。そのあとホテルにバレないように事後処理。
見事復旧!

シュウちゃんはセーターなどが嫌いで、でも寒がり。なもんでTシャツに薄手のジャンパーとちょっと厚めのジャンパーと膝下まであるスポーツ用のジャンパーと3枚くらいのジャンパーを重ね着してる。全部ナイロン系の軽い奴。それと本日は珍しく、妹さんのものらしい首回りがゆるめのタートルシャツ。化繊の混紡。それらが全部まとめて円柱に掛けてあった。謎の円柱は謎でも何でもなくて、ただの間接用照明だった・・・。そりゃあ溶けるわ! でも全然明かりは見えなかったし、元ラブホテルという意識があったもんで「変なインテリアデザインだな」と、それ以上不思議には思わなかったのだな、これが。

というわけでシュウちゃんの着ていた服は、Tシャツ以外、全てバズーカで打ち抜かれたように大きな穴があいている。あーあ。サンベちゃんはというと、溶けた化繊が手についてやけどを負っている。何でよ!!

 こうなると神経が興奮しているから寝られるわけがない。というわけでまたみんなでビールを飲み出す。サンベ君のやけどの手当をしながら、今までの映像が頭のなかで繰り返される・・・わたしの行動と思考は、それこそ秒単位で動いていた。「いやあ、わたしってかっなり格好良かったわ、どう考えても! それにひきかえ君たち! わたしがやけどするなら分かるけど、どうしてなんの活躍もしてないサンベがやけどするかなあ。シュウちゃんははじめから終わりまで同じ姿勢だしサ。ちょっと!」

 なんかあったとき、たとえばタイタニックみたいにね。「男としては、とりあえず女子どもは守る! それは当たり前です。Nemotoさんのことも当然、何があったって守りますよ!」
と豪語していた彼らだが・・・・・・。当てにはならぬ・・・・・。 やはり・・・。

3時半くらいまで飲んで、部屋にそっと戻って、部屋のサウナに入って4時半頃ベットにもぐり込む。はー
おもしろかった・・・・。



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