「隙間企画」代表 根本陽子

 これまで、芝居とのコラボレーションを積極的に続けてきた「NEUK」だが、 以前から、「やってみたいね」と話していた、芝居の稽古が先行する中へ入り込んでいくこれまでのスタンスとは違う <彼らの音楽世界に、俳優が入り込んでくる…> というコラボレーションを、隙間企画の俳優とやってみよう!という今回の企画。

その試みに乗った俳優陣は、イタリアの映画監督フェデリコ・フェリーニの名作 『道』 (1954年) のモチーフを持ち込んできた。

風のように、世界をさすらってゆく大道芸人である男 (ザンパノ) と女 (ジェルソミーナ)。“境界線を生きる” 二人が、 −決められた音符を演奏するのではなく、 たゆたうように、揺らぎの中で音を探り出していく− そんなNEUKの音楽に入り込んでいく…。

モノを創る人間であり続けたい、と自分に言い聞かせるように瑣末な日々を送っているわたしたちの姿は、自分で言うのもなんだけれど、良くも悪くも、どこか“あやうい”。そんな在りようが、このコラボレーションライブを通して感じられたら面白くなるなぁ…などと稽古を見ながら思ったのでした。

2005.09.04

出演

NEUK

・・・井ノ上孝浩
(ギター)
・・・藤沢祐子
(メロディカ&サックス)
・・・月原 誠
(パーカッション)

大島政昭
ジェルソミーナ

ピエロ         谷川 俊太郎

ピエロの素顔を見たことのあるのは
ピエロのもとの奥さんだけです
泣き笑いの化粧の下にあったのは
しわだらけのふつうのおじいさんの顔でした
素顔のピエロは泣きも笑いも怒りもせず
<貯金はいくらたまったかね>ときくのです
ピエロのもとの奥さんはその貯金を引出して
十段変速の自転車を買って家出しました
ふつうの顔をしたおじいさんピエロは
あくる日月賦でトランペットを買いました

 

音雨       マサーキー

音の泉に飛び込んで
泳ぐ姿は完全無防備
己の裸身は晒されて
先の先のまたその先の毛細血管
浮いては沈んで 伸びては縮んで
錆付いて硬直しかけた鉄の脳に
降るわ降るわの音雨を
まともに浴びて失神し
気づけばそこはこじゃれた紅茶家
「音を紡ぐは何とやら?」
「あたいらNEUKと申します」
「ならば今宵は泳がせて 音と一緒にどこまでも」

 

←BACK