コラム
役者という生き方〜貧乏ものともせず

第8回

恋愛小噺!?
 
根本陽子/女優
「奇蹟の人」「十二夜」「オセロー」ほか多数出演。「桜の森の満開の下」では踊り手として、イギリス・ブリヤート共和国・韓国・アメリカ公演に参加。「沖縄」では、イタリア・ベトナム。「かもめ」ではニーナ役で日本人として初めてモスクワ芸術座の舞台にたつ。
2001年、文化庁芸術家在外派遣研修生として1年間のルーマニア滞在を終え帰国。貧乏をものともせず、「集団に依存しない真のクリエイターの姿」を模索しながら活動中。
URL:http://fame.calen.ne.jp/~yoko/
E-mail:yokonemoto66@hotmail.com
 
こんなタイトルだからといって、自分の恋愛事情を語ろうというのではないのである……悲しいかな。ふぅ〜っ。

「愛だの恋だの」が9割なのだ…

秋に予定されているウクライナ公演の予算が足りないために、自腹を切らなぁあかん状態!になっているわたし……で、稼がにゃならなくなった私は、アルバイトでカラオケの映像編集のお仕事をしている、と以前に書いたのでありますが……この1カ月は第○興○さんのオフィスに出向中。で、カラオケのテロップ編集(字幕の色がメロディーに合わせて変わっていく、アレですネ)をやっとります。

どんな感じかというと……新機種用に、もともとあった他機種用のテロップデータを流用するそうなのだけれど、パソコンでコンバートした際にどうしてもズレが生じてしまうのであります。というわけで、カラオケを聴きながらそのズレを直していく、というお仕事。

元歌を聴きながらするわけではないので、ドツボにハマルとアリ地獄……歌い出しがわかりやすいものは5分ほどで450円! 「えっ!そんなにおいしい仕事なのっ??!!」っと思ってくださるな……やはり人生そう簡単には行かないのであります…(ToT)V

アルバイトの内容はこれくらいにしておいて、何が言いたいかといいますと……毎日、多いときは60曲ほどのカラオケ曲を聴いているわけでして……演歌からJ−POPから……。それらの9割は恋愛の曲なんだな、これがっ!!
というわけで“他人の恋愛ばなし”を、朝から晩まで(って大げさか…)延々拝聴しているわたし……ちょっと虚しい(−−)/

「恋」は一番わかりやすいアナーキズム…

アナーキズム……というのを感覚的に説明するのには「恋」が一番わかりやすいっ!と私どもは思っておりますが……恋してハッピーだろうと、失恋してアンハッピーだろうと、ええいっ! どんな状態であろうと!!……「恋」というものは、自分の普段の日常性からは想像がつかないほどのエネルギッシュな状態へと追い込んでくれる。そして、道徳やら理性やらをも、簡単に超えさせてしまう……だから歌にしやすいのであろうし、そんな状態だからこそ、人は歌をつくれるのだろうけれど。

大雑把にくくると、
<恋の予感>→<付き合うまでのプロローグ>→<恋人同士の期間>→<こじれ・もつれの期間>→<別れにまつわるエトセトラ>→<新たなる…>→<最初に戻る>てな具合に“恋する人の心の流れ”があるようで……どの歌も、この流れのなかのどこかに位置してる。
失恋して「この苦しさをどうやって乗り越えたらいいの……」と歌った次には、一歩を踏み出し新たなる恋の予感に心ときめかせてたり……。

なんやかやいっても、みんな、同じような心の変遷を辿りそれを繰り返すということかぁ……うーむ……世界中にある膨大な恋愛曲を全部、この流れのなかに置いてみたら“永遠に近いほど長生きしているヒト”という、たった一個の生命体の恋愛話ってことになるよなぁ、と思えてならない今日この頃。

うーん、これもまた自己防衛システムなのかぁ?

人間の肉体は、痛みがあまりに大きいときは、防衛本能が意識を“気絶”状態にして痛みを感じなくてすむような仕組みになっているように、どうやら、心のほうも、落ち込みっぱなしでいられないように作られているものらしい。

たとえば失恋したとして「時が解決してくれる」と言ってみたり、違う考え方をしようとしてみたり、次なる恋に賭けようとしてみたり(^^!)いつかは浮上する、そのきっかけを狙ってる……そして、またもや、恋をする。これもまた、本能だな……うん。どんな人間も心の基本システムはおんなじなのだっ!!

……高次元に存在する何モノかが人間をつくるとき、おのれ自身を救うすべとして、このシステムを埋め込んだのに違いない。
……んーそれにしても“恋しててハッピーです”状態じゃない人間の思考だな、こりゃ……(^^!) カラオケ曲の聴きすぎ、ということにしておこう……。

ここからはまじめな話……

“恋する心”だけの話ではないんだけれど、ね…。ヒトは、精神的に、どん底だ…と思っていても「生きねば…」と思うとき、なんとか一歩を踏み出そうとあれこれ考えて自分自身に仕掛けようとする。そしていつかは浮上してくる、と思いたい。そのしたたかさ、強さは、生きていくための――何モノかが人間に与えてくれたものかもしれないけれど――本能なのだ……。

心の底から“信頼出来る”と思える大切な友人が“HIV”の検査で、陽性という診断結果をもらった。1分1秒が人の生死を分ける、そんな現場で精一杯働いてきた彼女にとっては、感染を予防するセオリーよりも、その瞬間瞬間の現実のほうが重かっただろうと思う。<ある意味潔く行動してきた。けれど実際に“感染の可能性”という紙を突きつけられたとき……>そのときから半年が経ち、一歩を踏み出そうと動き出したその友人の心の中の闘いを想いながら、私自身の心の中を覗きながら、この原稿を書いている。


 
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お仕事中!……のわたくしです……会社に通っていると、なんだか立派な社会人に格上げされたみたいでみたいで、ちょっと楽しい(^^)
 
植物を枯らす名人の私がサボテンを頑張って育てているのを見て、その友人が「新たな試練を与えよう」と言って置いていったハイビスカス。黄色の花が一昨日咲いたの