コラム
役者という生き方〜貧乏ものともせず
 

第27回

プチ放浪記?
…街頭インタビュー
“ホモについてどう思いますか?”in ザグレブ
 
根本陽子/女優
「奇蹟の人」「十二夜」「オセロー」ほか多数出演。「桜の森の満開の下」では踊り手として、イギリス・ブリヤート共和国・韓国・アメリカ公演に参加。「沖縄」では、イタリア・ベトナム。「かもめ」ではニーナ役で日本人として初めてモスクワ芸術座の舞台にたつ。
2001年、文化庁芸術家在外派遣研修生として1年間のルーマニア滞在を終え帰国。貧乏をものともせず、「集団に依存しない真のクリエイターの姿」を模索しながら活動中。
URL:http://fame.calen.ne.jp/~yoko/
E-mail:yokonemoto@hotmail.com
 
何故クロアチア?というと、映画監督の嬉野君の「ジャッキー・チェンのサンダーアーム・龍兄虎弟のロケ地がクロアチア」というセリフにみんなが乗った、というわけで、ハハ(笑)…ハンガリー同様やはり深い意味はなかった。で、アクションシーンに使われた市場を探せっ! というわけでザグレブの中心街へと向かう。

私の役名は<サッチャン>

気温は20度前後。市場は、すっきりした青空の下で野菜や果物が色鮮やかに映えていた。あちこちの店先で引っかかっている3人を後方に置いてひとりぷらぷらと歩いておったら突然、カメラと小型レコーダーを手にした女性2人に捕まった。どうやら雑誌の取材。
「ホモセクシャルについてどう思いますかぁ?」
……参ったなぁ…うううっ……
となっている私に、「何やってるんすかぁ」の助け舟。いいところに来てくれたわよ……で、英語ぺらぺらの嬉野クンに任せて逃げるっ・(--)。

インタビュアーたちとひとしきりワヤワヤ。彼女たちと別れて歩き出しながら、私は大江健三郎の「燃え上がる緑の木」を芝居にする試みの最初の頃、演出家と話していたことを話し出した。

私の役名は<サッチャン>……彼?彼女は両性具有だった。
「“ふたなり”って言葉を、小さい頃本で知った。女性男性、両方の性器を持って生まれてきた人。ふたなりはなぜか美しい人が多い、とか言われてたりするんだよね、小説のなかでは。初めてその言葉を知ったときは、言葉の響きと美しい人が多いってイメージが重なって、とても単純に、魅惑的だなぁって思った。けどね、演出家とテレビで見た両性具有で生まれてきた人たちのドキュメンタリー番組の話をしたんだけどね、両方の性器を持って産まれてきた人たちは、産まれたときに医者や親に<性>を決められる。でも、大きくなるにつれ<男とされたけれど、心の中はどうも違う>とか<女に決められて育てられたけれど、私は女ではない……>その“私とは誰”っていう哲学的な意味だけじゃない、より具体的な苦しみを抱えている人たちのドキュメンタリー」

「それまで私は知らなかったんだ、両性具有として生まれてくる割合は、じつはとても多いんだということを。それも最近になって、じゃなくて、はるか昔からそうだったということ。はるか昔から“自然の流れのなか”で相当数の割合でもうひとつのものが産まれているのだ、という事実。衝撃的だった。その“事実”を受け入れること、当たり前のものとすること、を今の世の中ではしないでしょ。今の秩序が根底から揺らぐよ……。今はね、同性愛って聞かれても、いいとか悪いとか異常か正常かとか、簡単に喋れなくなった……」

「何で今の話しなかったんですかぁっ??」
……だってぇ…ややこしい話しだしたら長くなるしさぁ
……今の私は気力なさ過ぎだしさぁ…

私を揺さぶってくれるもの

両性具有の人たちの“私とは誰”という問題と、世間一般にいう同性愛嗜好はもちろん一線を画す、ってことだけは断わっておいて……なんで私はこのことに心を揺さぶられるんだろうな……。そして、私は何に、どんなことに心揺さぶられるんだろう……。

多分、私自身なんかより、彼らの“私とは誰”というありようのほうが迫力あるからだ。私の中の“あたりまえ”と思っていた感覚に―― たとえば、書類の<男・女>の欄に何の躊躇もなく丸をつける私に――「???」を突きつけてくる、事実がもつ迫力。そしてそれらは<自然の流れの中では、“あたりまえのもの”>として存在してた……。

――物事を二極に分けることでわかりやすく“進歩”してきた現代――正しさというオーラに覆われて堅固に組み上げられたように見えてたそれが、ほんとは隙間だらけなんだな。ものを創ることに関わり出して、そう思うようになってきた。その隙間に、いっけん正しそうな現代、が生み出した問題や、力強い新しいものや、もしかしたら“真実”と言えるようなものがうごめいてるのかもしれない……私を揺さぶる迫力のあるものとして……。


 
 
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繁華街につながる傾斜地にある市場。階段状になってる。青果・チーズ・おかし…階段を上がっていくと、花や雑貨…衣類売り場へと続いてく。やっぱり市場は楽しいな
 
蜂蜜売り場。話題のプロポリスやロイヤルゼリーとか、安いんだなぁ、これが。そうそう余談。青果売ってたおじさんにいきなり深々とお辞儀されてりんごを1個差し出された……??? 駅で新聞見たら1面にでかでかと紀宮の写真が載ってて……来てたのかしらん?…ということは…間違われた??とか(−−!)
 
何故かおかきも売ってた。ちゃんと「日本製」って書いてあったし